ボリウッドダンス
ボリウッド映画とは、ボンベイ(現ムンバイ)でヒンディー語で作られる北インドの映画のことで、Hollywoodに追い付け追い越せを目指して(?)命名された名称です。以前日本でも流行った「ムトゥ・踊るマハラジャ」は、南インドのタミル語なので、ボリウッド映画とは呼ばれません。南インドでは、テルグ語、カンナダ語などでも映画が作られています。
「南の映画はダサい」という人がいたり、「歴史的に見て、南こそが本来のインドなのだ」という人がいます。確かに北と南では、人種も文化も違います。
北も南も、芸術系の映画を除いて、ほとんどのインド映画にはダンスシーンが挿入されています。この北インドの映画のダンスがボリウッドダンスです。映画そのもののDVDは日本でもありますが、インドでは俳優別、女優だけを集めたもの、プレイバックシンガー別、作曲家別にピックアップされたダンスシーンのDVDが発売されています。最近では、ロック系の音楽だけのダンスシーンだけを集めたものも発売されています。インド料理屋さんなどで流されているのは、この種類のものです。幼いころに古典舞踊を習った上手い女優さんの踊りは、ウットリしてしまいます。
日本では、何年も前にインド古典舞踊の先生がこのボリウッドダンスを教え始めましたし、この2,3年で、他の先生たちも教え始めました。「わたしはやらない」という先生もいますが、、、。
最近では、ベリーダンスの人もボリウッドダンスを踊りはじめました。アメリカのベリーダンスのSuperstarsというグループも、ボリウッドダンスに注目して、Bellywoodというジャンルを作り出しました。インドの楽器を使用したインドのフュージョン系の音楽に乗せてムードラ(手指を使って事物を表す)やインド古典舞踊の典型的な振りを、ベリーダンスに取り入れています。もちろん、「なんでもあり」のボリウッドダンスなので、当然アラブ音楽を使ったダンスもあります。ボリウッドダンスのDVDを観ていたのに、{ウシュクダラ、、、}とトルコ音楽が始まった時には驚きました。
残念ながら、日本音楽を使ったボリウッドダンスは今のところ観たことはありませんが、1966年の「Love in Tokyo」という日本を舞台にした映画で、インド女優が着物を着て、踊るシーンがあります。40年ぐらい前に初めてインドに行った時に、インドの人が僕の顔を見たとたんに、「さよなら」と言いだして、「会ったばかりなのに、何だ?」と思いましたが、この映画で、「♪さよなら♪、、、」という歌があったので、納得しました。そう言えば、その前に行ったモロッコでも、「さよなら」という言葉をかけられました。
どんな形にしろ、インドが注目され、理解しようとしてくれる人が一人でも増えてくれたら嬉しいことです。